彼は、理想の tall man~first season~


ああ、そっか――。

煙草を吸ってないから、落ち着かないんだ。

ニコチン切れとなったようで、これは今しかないと思って、隣の尚輝の部屋にこっそりと向かった。


尚輝の部屋を軽くノック。

出て来た尚輝は、今まさに喫煙中だったみたいで、部屋に入れて貰った。


「ねぇ、たばこ頂戴」

「シーツの臭いでバレるぞ」

「ファ○リーズするから、大丈夫~」


私は尚輝の煙草を1本貰って、火を点けた。

ベッドのふちに背中を預け、床に2人並んで吸うのは、本当に久々。

出入口に背を向けているから、突然親が入って来ても、私が吸っている姿は見られない。

尚輝と同じ煙草であれば、吸っていたのはあくまで尚輝。

違う種の煙草の吸殻は、ややこしい誤解を生むだろうからと、昔は同じ銘柄の煙草を吸っていたりもした。

くっついて座っていても、仲の良い双子で親には通るから、尚輝の部屋で吸う時は、いつもこんな感じだった。


「ねぇ、尚輝の会社の同じ部署の人でさぁ、女の人って何人いるの?」

「ん?」

「さっき、中條さんの電話の後ろで女の人の声がして――」

「女の人?」

「うん――可愛い感じの声だった」