彼は、理想の tall man~first season~


『納車、おめでとう。運転してみてどうだった?』

「えっと、まだ緊張が先で――でも、運転は割としやすかったかな」

『そう、なら良かった。松本も心配してたから、後で言っておくよ』

「あ、ありがとうございます」


頑張ってはみたものの、顔を見ていない状況でのフランクな会話というのは、限界があった。

それでも、物事には、最初が肝心というのもあるから。


『日曜の件は、また明日決めようか』

頑張って、うん――と、そう返答をしようという寸前。


『中條さぁん、さっきの案件て――あっ、ごめんなさい、お電話中に』


ハッキリと、女性の声が耳に届き、変な感じで時が止まった。

ああ、それなら後で――。

『ごめん、実はまだ会社で』

「いえ、すみません、お仕事中なのに」

『かけたのは俺なんだから、謝るのは、なし』

「――はい」

『また明日連絡するね』

「はい――あまり無理しないで下さいね」

『うん、ありがとう。もう少しで上がるから』


それじゃと言って切れた電話。

突然の女性の横入りに、私の意識もすっかり吹き飛んばされていた。