「えー? 本当に? なんでまた急に」
「自分の車が欲しかったから」
何回も言おうと思っていたけれど、驚かせるのもいいかもと、今日まで秘密にしていた私。
母親の反応は、見事なまでの反応で。
キャー大変、お父さんに言わなくちゃ、なんて騒ぎ出し。
「あなたー」
なんて言って、バスルームに向かって、小走りに消えてしまった。
ひとりソファーに座りながら、ふふっと、勝手に笑いが零れ。
私は、バッグの中から楽譜を取り出した。
手書きの楽譜。
マスターが奏君に描かせたと言っていたけれど、数枚の楽譜には、音符と符号が所狭しと書き連ねられ。
描いてくれた手間を思うと、メール一通では気が引けたけど、取りあえずお礼のメールをと思って、携帯を取り出した。
すると、メールマークがピコピコしていて、開けば敦君からの返信メール。
普段では、まず有り得なかったこの状況に、嫌でも胸が躍る。
ドキドキしながら、メールを開くと、運転に気を付ける旨と、実家に着いたらメールでいいから連絡を入れて欲しいと書かれていて。
私は慌ててメールを打って送信した。
そして、奏君にも、御礼のメールを送信した。


