彼は、理想の tall man~first season~


靴を履き終えて振り返った敦君に、遅いからここでいいよと、先手を打たれてしまった。


「おやすみ」

「――おやすみなさい」


今日の最後に、ギュッとされたい――だなんて、甘い思考が頭の中に、ふわりと浮かんだ。


脳がどうも乙女思考な傾向で、そんな自分に戸惑う。

でも、それが正直な気持ちなんだ――と、どこか開き直った私もいた。

かといって、口にも行動にも出せないのが私。


「俺が部屋出たら、直ぐ鍵閉めるんだよ?」

「はい――あ、今日もご馳走さまでした。いつもすみません、ありがとうございます」


流石に、感謝の気持ちを、いきなりラフな言葉では言えない。

今日はこれでいいと思って、それを口にした私を見て、敦君はフワッと笑みを浮かべた。

ああ、この人は、こういう笑い方もするんだ・・・・・・。

終始爽やかなイメージだったけど、こういう優しい柔らかい表情もするんだ。

――なんて考えていた時。


「ごめん、ちょっと――」


頭上から聞こえたその声は、次の瞬間には後頭部で響いて聞こえて。

――充電させて。


そう言われていた時には、すっぽり敦君に包まれていた。