靴を履き終えて振り返った敦君に、遅いからここでいいよと、先手を打たれてしまった。
「おやすみ」
「――おやすみなさい」
今日の最後に、ギュッとされたい――だなんて、甘い思考が頭の中に、ふわりと浮かんだ。
脳がどうも乙女思考な傾向で、そんな自分に戸惑う。
でも、それが正直な気持ちなんだ――と、どこか開き直った私もいた。
かといって、口にも行動にも出せないのが私。
「俺が部屋出たら、直ぐ鍵閉めるんだよ?」
「はい――あ、今日もご馳走さまでした。いつもすみません、ありがとうございます」
流石に、感謝の気持ちを、いきなりラフな言葉では言えない。
今日はこれでいいと思って、それを口にした私を見て、敦君はフワッと笑みを浮かべた。
ああ、この人は、こういう笑い方もするんだ・・・・・・。
終始爽やかなイメージだったけど、こういう優しい柔らかい表情もするんだ。
――なんて考えていた時。
「ごめん、ちょっと――」
頭上から聞こえたその声は、次の瞬間には後頭部で響いて聞こえて。
――充電させて。
そう言われていた時には、すっぽり敦君に包まれていた。


