彼は、理想の tall man~first season~


「ブラックでいいですか? 適当に座って待ってて下さいね」


沈黙が嫌で、ひとりせかせかと動く私は――認めたくない終わりを、ただ間をもたせて、引き延ばしているだけ。

やっぱりそんなのは、滑稽だ。


早々にケトルのお湯が沸き。

緊張しながらも淹れた珈琲は、皮肉なことに、こんな時でもいい薫りを漂わせる。


「お待たせしました」

「ありがとう」


相変わらず爽やかな顔で、正直戸惑った。

敦君にとっては、関係を切っても、痛くも痒くもないということなのだろうか・・・・・・。


取りあえず、どこに座ろうか悩みもしたけれど。

敦君が三人掛けのソファーの端に座っていたから、私は逆端に腰を下ろし。

下手に沈黙しているから、熱ささましに、珈琲をふぅふぅ吹き続けていた。

それでも、神経の大半は、敦君の行動が気になって、それに傾いていた。


「ゴメン、さっき俺が言ったことだけど」

「あのっ――私は、本当に大丈夫ですから、気にしないで下さいね」

「いや、誤解されてるままだと俺が困るから」

「誤解って、誤解なんてしてないですよ? 私は、言葉のままキチンと受け止めてますから」