彼は、理想の tall man~first season~


「やっぱ、勘違いしてる」


敦君は私の気持ちを汲んではくれず――。


「ちゃんと話そうか」


敦君は、そんなのん気な発言をしたかと思えば、私の手を引いて歩き始めた。


私の意に反して、勝手に動いてる足は、敦君のペースで。

ちゃんと話そうかと言った本人は、無言でひたすら歩いてる。

でも、心と体がバラバラなままマンションに着いてしまった。


「俺のうちでもいい?」

「え?」

「いや、でももう遅いから――また今度に」

「うちでどうですか? 多分、まだ尚輝は帰ってないと思いますし――敦君のとこだと、晃がいると思うから」


こういう話を、また今度だなんて、本当に無理だし。

なにより、晃が帰って来ているであろう部屋で、終焉の時なんて迎えたくない。


なにが勘違いなのか解らないけど――。

引き延ばすことが、いいことだとは思えない。


普段なら寝ているか、寝に入る時間ではあったけれど。

気が重たいまま、部屋に向かった。


「どうぞ」

「お邪魔します」

「何か、飲まれます? 珈琲とか――」


リビングに通して、私はそのままキッチンに入った。