「やっぱ、勘違いしてる」
敦君は私の気持ちを汲んではくれず――。
「ちゃんと話そうか」
敦君は、そんなのん気な発言をしたかと思えば、私の手を引いて歩き始めた。
私の意に反して、勝手に動いてる足は、敦君のペースで。
ちゃんと話そうかと言った本人は、無言でひたすら歩いてる。
でも、心と体がバラバラなままマンションに着いてしまった。
「俺のうちでもいい?」
「え?」
「いや、でももう遅いから――また今度に」
「うちでどうですか? 多分、まだ尚輝は帰ってないと思いますし――敦君のとこだと、晃がいると思うから」
こういう話を、また今度だなんて、本当に無理だし。
なにより、晃が帰って来ているであろう部屋で、終焉の時なんて迎えたくない。
なにが勘違いなのか解らないけど――。
引き延ばすことが、いいことだとは思えない。
普段なら寝ているか、寝に入る時間ではあったけれど。
気が重たいまま、部屋に向かった。
「どうぞ」
「お邪魔します」
「何か、飲まれます? 珈琲とか――」
リビングに通して、私はそのままキッチンに入った。


