タイム勝負で、相手がいる世界から、そうも行かないんだろうな。
「自己ベストを更新すれば次の目標が出来て――だけど、どこまで泳いでも、終わりがないんだよね。ずーっとそれのエンドレスで」
「はい」
「だから、団体競技って一回やってみたくてさ。受験の息抜きに、地元のクラブチームで少し水球をかじって、大学に入ってから本格的に始めたんだけど」
お互いの昔の話をしながら、なんとなく浮かんだ共通点。
きっと、なにがどこがこれの終着地なのか――お互い、高校生の時に、そんなことを思いながら過ごしたんだと思う。
好きだけでは我武者羅には続けられなくなって。
なんの為に――と、どこまでやれば――の。
大人に近付くに連れて、明確なるそれの意義が欲しかったんだと思う。
「たまに泳ぎたくならないですか?」
「あるよー、プールとか行きたくなる」
「私も、弾きたい症候群にたまに襲われるんで、電子でもいいからピアノ買っちゃおうかなって思う事あります」
「俺も、プール買えればいいけど」
「えっ?」
「それは冗談だけど」
「もー、真顔で言うから、本気かと思っちゃいましたよ」
「あ、そぉ?」


