彼は、理想の tall man~first season~


むしろ、疲れなんて感じている場合じゃない。

このチャンスに心は跳ねてる。

初めて入ったホームタウンの居酒屋は、わりと空いていた。


中途半端にアルコールが入った体内に、気分上々だった私は、白ワインを流し込み、敦君もそれに付き合ってくれて。

2人だけの宴が始まった。


「そう言えば、確か納車明日だったよね?」

「あ、はい――会社終わったら松本さんの所に」

「楽しみだね」


にこやかな顔で言われたから、つられて自然と頬がゆるんでしまう。


「あの、敦君の納車は?」

「俺のは再来週だって、昨日松本から連絡あった」

「それじゃ、やっぱり楽しみですね」

「んー、楽しみもあるけど、やっと生活の基盤が整うなって感じ」

「私も、これでやっと尚輝に借りなくてすむようになるから、気が楽です」


別に嫌々貸してくれるって態度とかではなかったけど。

尚輝の所有物だから、何かあったらって。

そう考えると、やっぱり自分の車は欲しくてたまらなかった。


「会社は車通勤にするの?」

「はい、一応そのつもりなんで前に上司には言ってたんですけど。正式にいつからとは言ってなくて」