その軽そうな雰囲気に、私はちょっと引いてしまった。
「コイツの言うことはシカトしていいからね」
「なんだよ中條、お前自分だけかよ」
「そのテキトーな性格直したらどうだ?」
「俺のどぉこぉが、テキトーなんだよ」
無言で隣に座っている小川さんを凝視した敦君は――
「見るからに、な」
――と、真顔でそう言った。
尚輝も笑っていたから、多分この人は、会社でもこういうポジションなんだろうと悟った。
「あ! つーか、俺、妹ちゃんのことどっかで見た記憶があんだけど、」
先程の話を蒸し返した小川さんは、今度は敦君にその話を振っていた。
そして、その言葉に敦君の左の眉がピクリと一瞬反応をしたけれど。
「お前の記憶力って――相当だな」
そう言って、小川さんを黙らせた。
相当だなって、どういうことなんだろう。
相当良いレベルなのか、酷いものなのか。
明確な判断とは至らずなんだけど――。
ビールも運ばれて来たので、その話はそこで終了となった。
でも、乾杯をしてからも、小川さんは私を見ては考えるような素振りを見せ、何度も首を捻っては、呻っていた。


