「お疲れー、誰かにとっ捕まったか?」
「――ん?」
「いや、昼休みに今日飲みに行こうかって麻倉と話してた後、受付の子達から飲みに誘われたんだよ。麻倉が首を縦に振らないから渋々断ったんだけど」
「へぇ、小川が女の誘いを断るなんて珍しいな」
「いやー、目的は俺じゃないって、そこは理解してるからな。麻倉が行かないんじゃ、うま味が全くないし」
ただ、折角飲むのに女がいないとつまらないとごねた小川さんに、それなら――と。
何故か尚輝は私も一緒にと考えたみたいで。
私が来るならと、敦君に尚輝が声をかけたらしく――現在に至るといった感じらしい。
尚輝が小川さんにどのタイミングで私と敦君が親しい仲だと言ったのかは不明な点ではあるけれど――。
「中條、お前、なんで彼女が出来たこと俺に言わねぇんだよ」
その情報が知りたてだという感じは、会話の中からうかがい知ることが出来た。
「ねぇ、妹ちゃんさぁ、今度合コンしようよ? いい男集めておくから」
「――は、い?」
「かわいいフリーな女の子、いないかな?」
本当に軽そうな小川さんは、ニコリと笑っていたけれど。


