彼は、理想の tall man~first season~


「こんばんは、初めまして」

「――初めまして」


一体誰なのか、疑問に思いながら頭を下げると。

尚輝が会社の上司の小川さんだと説明をしてくれた。

いつも尚輝がお世話になっております――なんて、差し障りないありきたりな挨拶をして。

尚輝に促されて席に座った。

敦君ではないんだということに少し残念な気分だったけれど、小川さんからの強烈な視線を感じて、私は気を取り直した。


「ね、本当に尚輝の妹?」

「――え?」


訝しげな目を向けられ、どう返せばいいものか。

だけど、私から視線を尚輝に向けた小川さんは――

「お前、中條じゃなくて、先に俺に紹介しとけよ」

軽い口調で尚輝にそう言って、再び私に視線を向けて来た。


「いやー小川さんは、女に不自由してないでしょ」

「はあ? してるっつうの」


2人がそんな会話で笑っていたけれど、なんで今この状況に私がいるのか、意味が解らない。


「小川さん、オーダーは?」

「来てから頼もうと思ってたから、まだなんも――先に始めるか?」

「とりあえず、何かオーダー入れておきます?」

「だな――俺はビールとなんかつまめるもん頼む」

「了解です」