何系のお店なのかも分からない所に向かう尚輝。
ただ――尚輝ならハズレはないと解っているから、敢えてそれは聞かずに、私は黙ってついて行った。
入ったお店は、うっすらと上品な明かりが灯り。
モダンな雰囲気で、落ち着きのある感じの店内だった。
店員さんも、此方が引くほど無駄に元気な居酒屋とは違って、控え目の笑顔で落ち着きのある応対で出迎えてくれて。
お店の雰囲気も人も、トータルバランスが良さそうな、そんな印象を私に与えた。
尚輝は予約をしていたのか、名前を告げると、店員さんは個室に案内してくれて。
お店の奥に連れられた。
ドアを軽くノックして、失礼します――と、店員さんはそう言って中に通してくれた。
誰かいるのか――尚輝が個室に入るなり、お疲れさまですなんて言うから、私は一瞬入るのを躊躇した。
しかも、おう、お疲れーなんて聞き慣れない声が聞こえたから個室の入口で立ち止まった。
だけど、尚輝に早く入れよと言われ、逃げられない状況。
戸惑いながらも個室に入ると、知らない男性が座っていて。
「――失礼します」
遠慮がちに一応個室に足は踏み入れた。


