彼は、理想の tall man~first season~


今夜も明日も、天気は晴れか。

その天気に安心していた私に、お先に――と、部長は声を掛けてくれて社内に戻って行った。


やっぱりなにかあったのかな?

仕事では、ここ最近特にトラブルもないけど。

こういう時、気軽に話し掛けてくれるのが部長なのに。

それに、覇気が感じられないと言われれば、そうとも思える。

仕事中は全く気にならなかったけど、部長ファンのパートさん達の目は、やはり流石としか言いようがない。


そんな時だった。

手にしていた携帯が音もなく震え出した。

出た表示を見ると――表示された名前に、私は軽く動揺した。


「も、もしもし、どうしたの」


夜の予定のメールが来る事はあっても、電話なんて珍しくて。

慌てて出た私は、軽くどもってしまった。


『お前、ふざけんなよ』

「――っ、いきなり、なに?」


突然キレた感じで電話を掛けて来たのは尚輝だった。


『なんで昨日帰って来てすぐに言わねぇんだよ』

「なに、がよ?」

『駅で酔っ払いに絡まれたんだろ? なんで俺が、晃から話を聞いた敦さんから知らされないとなんだよ』

「あ・・・・・・そのこと」