彼は、理想の tall man~first season~


私はそういう女の子女の子なキャラな感じにも思われていないと、自覚していたし――。


「松本、なにか頼めよ。メシ、まだなんだろ?」

「あ、悪いな」

メニュー表が私の背後で敦君から松本さんへ手渡されていて。

「なにが旨かった?」

「鶏ハムサラダ」

「鶏ハムサラダ? それじゃ、漬物盛り合わせと、つくねと、白飯」

「お前、決めてんなら、聞くなよ」


――2人はガラリと空気を変えてくれて。

それから、今日の練習の話だったり、当日のことだったりをみんなで話してワイワイ過ごしていた。


「それにしても、美紗ちゃん、日本酒飲むと、本当に赤くなるんだね」


長山さんからそう声を掛けられて、日本酒を飲み続けていた私の頬は、すっかりポッていた。


ただ――我慢に我慢していた煙草が、そろそろ限界を迎えそうだった。

この場で吸えないなら外に出るか――ここまで来たら、家に帰るまで我慢すればいいんじゃないかとも思うけど。

でも、さっきからずーっと吸いたくて、気が治まらないくて、お酒が入れば入るほど、それは強まるばかり。


ま、完全にニコチン中毒なんだけど――。