彼は、理想の tall man~first season~


会話を思い出しながらそう呟いていた私に、両脇からなんとなく視線が向けられ。


「どういう意味ですか?」


敦君に向かってそう聞いていた私は、日本酒を飲んでいた藤本さんが突然吹き出したので、あたふたしてしまった。


「なぁにやってんだよ」


ゴホゴホと咽ている藤本さんの代わりに、敦君と長山さんが拭き取り作業とかをやっていて。

藤本さんは咽ながら、それを笑いに変え、暫く笑っていた。


「美紗ちゃんて、ド真面目?」

「え? いえ、普通に気楽に生きて来ましたけど?」

「――あ、そう」

「ごめんなさい――ちょっと下ネタとか苦手で。昔から避けて通っていたので――未だにあまり理解が出来なくて」

「なるほどね」

「あの、なんか、すみません」


なんだか空気を乱してしまった気がして、居た堪れない気分だった。

長山さんに謝ると、悪いのはこいつだからと、藤本さんを見てそう言った。


嫌で避けて通って来た道は、こういう時、実に厄介だと悟る。

きっと世間では、下ネタギャグみたなので、やだーとか言いながら可愛く笑う女の子が、受入られるのだと思うけど。