「美紗ちゃんは、あんまり飲んでも顔に出ないタイプ?」
「わりと、ですかね――でも、日本酒飲むと、」
「変わるの?」
「はい、赤くなるって言われます」
長山さんとそんな会話をしていると。
かなり陽気になっていた藤本さんが店員を呼び、それをオーダーしていた。
素早過ぎた反応に唖然だった私と、敦君はもう呆れた感じで。
「まだ飲める?」
「はい」
「こいつ飲ます気満々だけど」
長山さんが少し困ったようにそう言って、言われた私がはにかむと、今度は敦君に視線を向けた。
そして、いいのか?と、様子を伺う感じで、長山さんがそう問い。
「明日、早いみたいだけど、」
敦君が今度は言葉と共に私に視線を寄越し。
あとは、恐らく私の意思を――という感じなのだと思って、ほどほどにしようと思いながら軽く頷いた。
「おう! 松本! 仕事終わったかー?」
突然の藤本さんのハイテンションに、3人の視線が一気に藤本さんへ向いた。
「ああ? 終わってんならお前も来いよ! 今――」
最寄駅と場所とお店の名前を告げ。
通話を終えた藤本さんは、今から松本が来ると、なんともあっさりそう言ってくれた。


