彼は、理想の tall man~first season~


こんな時、気楽に煙草に手が伸ばせばいいのだけれど。

今日はそうもいかない雰囲気。

誰も吸わない空間で勝手に吸うとか――しかも、女の私が吸うなんて事は、気が引ける。

そうなると、やっぱりクルクルかき混ぜる作業しか私にはなくて。

そんなことを続けていると、「飲まないの?」と――。

それを変に思ったのか?

乾杯してから私が飲んでいなかったことに気付いているのか?

長山さんが聞いて来たのだ。


昨晩飲み過ぎの私にとって、今のこのお酒の場は想定外。

それでも、断る理由もなくここにいて、雰囲気的にアルコールって感じだったから、これをチョイスして今に至ってはいるんだけど。

出来れば空腹にアルコールというのを避けたくて。

それらを簡潔に伝えると、納得したように頷いてくれた。


そんなこんなでやり過ごしていると、串盛りが2皿運ばれ。

先程頼もうと決めていた物+数品を敦君が頼んでくれて。

匂いだけでも美味しそうに感じた焼鳥は、食べてみてやはり美味だった。

特に美味しかった串は、追加で頼んだりして。


「次、何飲む?」

「同じもので」

私もようやくお酒を飲むエンジンがかかったのだった。