「会社の後輩の妹って、なんか色々やり難くないか?」
「――まあ、それなりにな」
「彼女、一人暮らし?」
「兄妹で住んでる」
「は? なに、彼女、兄貴と住んでんの?」
「兄妹って言っても、双子なんだよ」
「なんだそれ」
「俺が引っ越したマンション、その後輩のお勧め物件」
「なに、お前っ、同じマンションに住んでんのか?」
別の棟だと説明すると、2人はふぅ~ん、と鼻を鳴らし、黙った。
――少しの沈黙。
その沈黙を、彼女の方へ目を向けながら、長山が破った。
「育ち良さそうな雰囲気出てるけど――」
「父親はパイロット。で、兄貴は元モデル。察するに、お母さんの方もなかなかなんじゃなかろうか、って所だな」
「え、パイロットって、飛行機のだよな?」
「――ああ」
「すげーパイロットかよ。じゃあ金には苦労してない感じか」
「んー、苦労をしてないから、敢えて家を出たって感じの兄妹だな」
「へぇ」
「彼女、雰囲気からしてCAとか向いてそうだけど――仕事は何系なん?」
「事務職系」
「え、勿体ねぇな」
「そうか? 価値観なんて人それぞれだろ」
「まあなぁ」


