長山さんの発言に――確かに、なんて。
そんなこと思ってしまったら、罰が当たりそうだけど。
彼女が今現在、結婚をしたいと思っていたって、彼女もマリッジブルーになる可能性だってあるもんね。
「実際に断られたら藤本のことだから、相当凹むんだろうな」
「間違いないな」
「俺もそう思う」
なんだかんだ言っても――そうか、やっぱり彼女のことが好きなんだよね。
本当に歪んだ気持ちのままの付き合いだったら、彼女さんが気の毒だって思っていたけど。
もしかしたら藤本さんは、不安を口にして、2人におケツを叩いてもらって、奮起する人なのかも知れない。
「さーてと、気晴らしに歌でも歌うかな」
「おっ!! やっとやる気になったか」
ここに来てから話っぱなしで、ピアノの蓋も開けていなかったことに、私は今更気付く。
「あ、少しだけお時間下さい。ちょっと準備して来ます」
離席して、先ずは――と、スタッフルームを開けた。
そして、電気を点けようとした瞬間、足に何かがあたり、それが動き。
「――イヤッ、なにっ!?」
私は咄嗟にその場から離れた。


