彼は、理想の tall man~first season~


長山さんの発言に――確かに、なんて。

そんなこと思ってしまったら、罰が当たりそうだけど。

彼女が今現在、結婚をしたいと思っていたって、彼女もマリッジブルーになる可能性だってあるもんね。


「実際に断られたら藤本のことだから、相当凹むんだろうな」

「間違いないな」

「俺もそう思う」


なんだかんだ言っても――そうか、やっぱり彼女のことが好きなんだよね。

本当に歪んだ気持ちのままの付き合いだったら、彼女さんが気の毒だって思っていたけど。

もしかしたら藤本さんは、不安を口にして、2人におケツを叩いてもらって、奮起する人なのかも知れない。


「さーてと、気晴らしに歌でも歌うかな」

「おっ!! やっとやる気になったか」


ここに来てから話っぱなしで、ピアノの蓋も開けていなかったことに、私は今更気付く。


「あ、少しだけお時間下さい。ちょっと準備して来ます」


離席して、先ずは――と、スタッフルームを開けた。

そして、電気を点けようとした瞬間、足に何かがあたり、それが動き。


「――イヤッ、なにっ!?」


私は咄嗟にその場から離れた。