「そうそう。彼女のまわりで誰か結婚が決まった、だとか、子どもが産まれたとか、そうなったら、暫く地獄だね」
「地獄――なんですか」
「私も早くしたい――とまでは言わないけど、そういう空気をすんごい感じちゃうんだよね。結婚するなら、彼女の年齢と初産年齢考えて早い方がいいってのは解ってんだけど」
「はぁ・・・・・・」
「するならやっぱりキチンとしたいじゃない?」
「そう、ですよね」
「金銭的な問題もあるし、居住地のことも考えないといけないし」
「・・・・・・」
「でも、本音を語れば、俺に今結婚願望がないんだよね」
「――え?」
「付き合い始めて二年目くらいだったかな――それくらいの時に結婚したいって思ったんだけど、彼女の仕事が丁度転機を迎えて、タイミング逃しちゃってねー」
「そうだったんですか」
「それ逃して、次は俺の仕事も環境変わって多忙になって――別れ話をした時もあったんだけど、より戻して」
「・・・・・・」
「ここまで付き合って、結婚しないって雰囲気でもなくなっちゃってるし。お互い実家も行きあって、親は完全結婚モードだし」


