彼は、理想の tall man~first season~


時間があり余っている訳ではないから、そんなにゆっくりは出来ないけど。

丁度ランチタイム。

特別お腹は空いていなかったけど。

このタイミングを逃すといつ食べられるか分からないから、軽めのランチを2つ頼むことにした。


ずっと立ちっぱなしで移動だったから、席に座った時は、少し足の疲れから解放された。


「そういえば、今回のこの計画って、長山さんにバレてしまってもいいんですか?」

当初、ピアノ弾き語りは、サプライズ的な感じでの話だったような雰囲気で。

ちょっと気になったから、敦君に聞いてみた。


「なんか松本がさ、会場のこととか長山に聞いたら、ピアノあること知ったみたいで、」

「――はい」

「それで閃いた余興だったらしいんだけど、使わせて貰うには許可が必要じゃない?」

「あ、そうですよね」

「それなら、長山には話を通して、新婦には内緒で、ってことになったみたい。それで、今日どんな感じか知っておきたいから、急遽って感じらしいよ」


なるほど――と、納得。

2人に向けてのサプライズが、新婦さんへのサプライズ。

大変な役を引き受けてしまった気がしてならない。