青空に映える、敦君の笑顔は、初夏以上に爽やかな気がしてならない。
歩く速度は明らかに私に合わせてくれている。
歩調も距離感もほど良く、澄んだ空の下、話しをしながら、駅までゆっくり歩いた。
土曜日でもやはり混んでいた電車に乗り込み、私はそれに揺られていた。
「だいぶ混んで来たけど、つらくない?」
ドアの手前端に立っている私。
そして、その私の後ろに立ってあらゆるモノからガードしてくれているように、立っている敦君。
耳元で囁かれるように聞かれた私は、顔を熱くして、軽く頭を縦に振った。
最初は横を向いて立っていた私も、車内が予想以上に混み、外を見るような体勢に変わっていた。
敦君は、私の後ろに立つ形で、周囲から壁を作ってくれて。
背が高い人からこういう風に、後から護られている――みたいなのって、なかったから。
そんな風にされて、ドキドキしない人間なんかいない訳で。
視線を上に向かせた私は、目に映り込んだ敦君の手にさえドキッとしていた。
車輌壁上の天井ギリギリの所に手をついて、それで自分の体を支えた格好。
こういう部分で、改めて敦君の背の高さを感じる。


