彼は、理想の tall man~first season~


「丁度、俺も今来たところだから」


それは、本当かどうか、定かではないけれど。

その言葉は、素直に受け取ることにした。


「今日さ、急遽、長山も来るって今さっき連絡あって」

「――え?」


あ――確か、長山さんて、新郎の。


「そうなんですか」

なんて、言ってはみたものの。

敦君の友人2人に会うと思うとなんだか緊張が増した。


「ねぇ、本当に駅まで歩きでいいの?」

「え? あ、はい」


待ち合わせの時間を決めた時、私は確かに駅まで歩きたいと言った。


「お天気もいいので、お散歩気分で」

「そっか」


バスとかタクシーって選択肢もあるけど。

2人きりの時間は、今日は駅までの道のりしかないかも知れないから。

なんとなく、2人で歩きたいって思ったんだ。


どちらからともなく、ゆっくり歩き始めた。


「そう言えば、尚輝は?」

「爆睡してます。あの様子じゃあ、いつ起きるんだか」

「晃と一緒だ」

そう言いながら笑った敦君は、

「俺が帰ったら、玄関鍵開けたままリビングで寝てたよ」

「あいつ、不用心ですね」

晃の、危うい一面を教えてくれた。