彼は、理想の tall man~first season~


来週どこかで行ける日があったら、会社帰り嬰に寄ろうかな。

洗濯機にシャツを放り、私は軽く掃除して、暇を潰した。

それでも時間を持て余してしまい、尚輝が起きたら何か食べる物でもと思って、適当に作り。

テーブルに置き手紙をした。

それでもまだ時間が余って、煙草を吸って歯を磨いて、メイクを軽く直して部屋を出た。


マスターから借りた鍵は持ったし、戸締まりも完璧。

数時間前まで一緒にいた敦君に早く逢いたい気持ちで、廊下を歩くスピードがつい速まる。

エレベーターで下りれば、待ち合わせ時間はあと数分だから、直ぐにでも逢えるのに。

私は浮かれ気分で箱に乗った。


今日は途中まではデートみたいな感じなんだよね、とか考えながらエントランスに到着。

箱から出ると、敦君は既に外にいて――こちらに背中を向け、誰かと携帯で話していた。

けれど、入り口のドアを抜け、近付いた時には、「じゃあ、また後でな」と、丁度通話を終えた。


「お待たせしました」

そっと声を掛けると、その背中は反転して、爽やかな笑みが私に向けられた。