取り敢えず、下は黒で、上は白?
ああ、もう、ベースはモノクロな感じでいいかな。
小物と羽織ものとで色を加えればそれなりになるだろうし。
悩みながらも、私は嬉々として楽しんだ。
だけど、全体的にフワッとまとめる事はあっても、フリッフリでまとめるとか、私には無理な感じだ。
自分の背の高さがネックで、可愛い感じの服装や仕草の出来る女の子に、こんな時ばかりは憧れる。
まあ、私は私だからなぁ。
なんて考えながら、身支度を終えそうだった時、玄関が騒がしくなり、尚輝の帰宅を知らせてくれた。
「お帰りー」
「――ただいま」
自分の部屋から尚輝の部屋に向かうと、テンションの低い男が一匹。
スーツを脱ぎ捨てながら、「寝る」と、ひとこと。
そのスーツを拾い上げて、ハンガーに掛けて、私は尚輝の脱ぎ捨てたシャツを手に、その部屋を出た。
どれだけ飲んだんだか――相当飲んだみたいだな。
あ、奏君大丈夫だったかな。
マスターもカズ君も、いい大人だから大丈夫だろうけど。
奏君は、まだ私の中では高校生の印象が強くて、お酒を飲むってイメージがないから、余計に心配になった。


