「早く慣れて欲しいものだけどさ。いきなりって、やっぱり難しいかと思って」
「――あ、はい」
「無理強いして、逆にぎこちない感じも嫌だし」
「すみません」
「ん? いや、多分さ、慣れれば、美紗ちゃんはそうでもないんだろうなって、思うから」
「え、それって――どういう意味ですか?」
「昨日、バーの社長とは対等に話してたでしょう?」
うん、確かに――と。
そう思って頷いて見せた。
「あの社長とも、最初から、昨日みたいに話せてた訳ではないんでしょ?」
「それは、はい、そうです」
「なら、俺にも、そのうち慣れてくれるのかなって」
「それも、間違いなく、そうです。というより、そうでありたいです」
言葉の意味を理解して、焦る私に、敦君は、ふっと笑って見せた。
「そう思ってくれるなら、一緒に過ごせる時間を、もう少し増やそうか」
「――え?」
「なに、え? って」
「いや、あの――昨日、私、そのこと考えていて。だから、なんか凄く驚いたというか」
「――そうだったの?」
「はい――。でも、そう言って貰えて、嬉しいです」


