彼は、理想の tall man~first season~


それが完全に無駄、という訳でもないんだろうけど――この時間が有効且つ有意義かって考えると、否。

結局の所、ゴールのない迷路の中を、ただ彷徨うだけ。


――こういう事を考えてしまうから、嫌なんだよな。


でも、物事を後退的にしか考えられない時って、それがうまく行っていない証拠でもある。


精進しないとだな――とは思うけど。

不得意科目は、敬遠して来たから、なるようにしかならないような・・・・・・。

始まったばかりなのに気弱な自分に嫌気がさし。

答えなど出ない思考を巡らせ、考え疲れた私は、いつの間にか深い眠りに落ちたのだった。


* * *


「暑くなかったですか?」

「大丈夫だけど、暑かった?」

「いえ、大丈夫でした、けど」


朝晩の冷え込みはどこ行っちゃったんだか、いい感じに夏が近く。

翌朝目覚めた私は、ほんの少し寝汗をかいていた。


「なんか天気良さそうだね」

「――はい」

カーテン越しの空の色は見えないけれど、陽の光の強さが、晴天さを物語っていた。

部屋のカーテンは遮光にしていなかったから、外の光に反応して目覚めた訳だけど。