彼は、理想の tall man~first season~


でも、付き合いの浅い敦君に、そんなお願いは到底出来ない。

それに寝床もどうするか本当に考えなきゃ――。


止まぬ雷雨。

恐怖と安堵とが入り混じる中、私はどうしようかと思い悩んでいた。


「美紗ちゃん」

「はい」

「一緒に寝ようか」

「――ぇ?」


不意に名前を呼ばれて――。

だけど、以心伝心なのか、そう言った敦君の声が、間近で聞こえて。

ドキドキしながら、顔を上げると――真っ暗闇でも少し目が慣れた感じで。

なんとなく、敦君と目が合っているように感じた。


正直、返事に困ってしまった。

一緒に寝て欲しいとは思っていたけど、いざそう言われてしまうと、本当に一緒に?

って、そんな感じで、戸惑う。


「電気点いてたの、この部屋だけだったよね?」

「はい・・・・・・た、ぶん」

聞かれた質問に、ちょっと考えて返事をした。

片手でテーブルを漁っていた敦君は、「あった」と小さな声を発して、携帯を開いた。

暗闇に光る携帯ライト。

私は体を起こして座り直すと、敦君は立ち上がり。

その光を頼りに、部屋の電気のスイッチを、多分オフにしてくれた。