彼は、理想の tall man~first season~


それは――まるで父親のような温かな雰囲気で、優しい父の眼差しを思い出させ、少し胸が切なくなった。


「私、父のことは、本当に大好きです」

「だから余計、心配で不安?」

頷くと、敦君はフッと息を漏らした。


「でも、」

「ん?」

「不安な気持ちと同じ位、父なら大丈夫だとも思ってはいるんです。父親のことは誰よりも尊敬してるから」

「――うん」

「だから,信じてるけど、それと同じくらい不安があって――みたいな」

「なんだか、恋愛みたいだね」

「――え?」

「全ては、愛ある故の想い――でしょう?」

「・・・・・・はい」

「自分の娘にそう思ってもらえるお父さんは、幸せだろうね」


私は結構なファザコンだ。

けど、こういう会話は、なんだか照れくさい。

そう思いながら、敦君と目が合って、お互いクスリと笑い。


だけど、その時――。

バリバリバリッ――と、再び大きな雷が鳴り、近くに落ちたみたいで、再び停電になってしまった。

話しに夢中だった私は、不意をつかれたその雷に、今度は声も出ないくらい驚かされ。

気付いた時には、敦君の腕の中にいた――。