握りしめていた部分のシワの状態からして、どれだけ強く握りしめていたのか――シワを見て私は苦笑いするしかなかった。
「雷、昔から苦手なの?」
「・・・・・・はい」
心配そうに私にそう問う敦君。
この状況で、誤魔化しなどきかないだろうと、正直に頷いた。
「地元近辺は、雷雨が多くて」
「あぁ、そうか。尚輝の地元だもんね。そう言われてみれば、そうだね」
「もともと小さい時から雷は嫌いで。小学校の時、学校の本当に近くに雷が落ちて」
「うん」
「放課後、教室の窓から、その一部始終を見ちゃって。多分、雷鳴と地鳴りと光の衝撃が原因だと思うんけど――私、気を失って」
「――え?」
「それから本当にダメで」
それくらいで?って、人は思うかも知れないけど。
「あとは、想像しちゃって」
「――想像って?」
「昔、見た映画で――飛行機がジャックされて、その犯人と機長の闘いみたいながあったんです」
「うん」
「途中から激しい闘いプラス悪天候も重なって、至難のフライトになって――そんなこと、現実問題起きないことだとは思っても、父親を思うと、心配で」


