彼は、理想の tall man~first season~


でも、今の私達の雰囲気からして、カラダの関係を――というのは、時期尚早だと思う。

ただ、そうは思っても、本当に変に緊張し始めて、心臓がバクバクし始めた。


でも、敦君はきっと紳士な人だから、いきなり――なんてことにはならないよね?

それは、なんの確証もなく、私が敦君に感じていた、勝手に思い描いたイメージ像だけど。

きっと大丈夫、と――無意味に強く言い聞かせ、着替えを置きに脱衣所に入った。

真新しい歯ブラシを棚から取り出し、着替えの上にそっと置きやった所で――。

あ、スーツ。

目に入ったのは、無造作に置かれていた敦君のスーツだった。


「あの、スーツ、掛けときますね」

『――え? ああ、ありがと』

シャワー中の敦君にひと言声を掛け、スーツとネクタイを脱衣所から持ち出し、シワにならないように、一式をハンガーに掛けた。


やっぱり大きいな――なんて、広げた上着を見て思う。

名のあるブランド物のスーツを見ながら、高いだろうな、とも思った。


尚輝の部屋じゃ変だし、リビングでも変?

ハンガーに掛けたスーツを持って、私は廊下を右往左往。

結局、それは私の部屋に持ち運んで壁に掛けた。