彼は、理想の tall man~first season~


「雷は――」

「やっぱり、さっきよりも酷くなって来てる、かな」

その言葉に露骨に嫌な顔をした私を見て――本当に苦手なんだね。

敦君は、そう言ってソファーに移動しようとしていた。

けれど、戸外から先程よりも激しい音となり聞こえて来た雷鳴に、私の体は硬直。

すごいな、と――そう呟いた敦君と、目と目が合い。

なんだか、いっぱいいっぱいだった。


「大丈夫?」

ソファーの脇を通り抜けて、私の傍に立った敦君は、心配そうに私を見つめる。

ハッキリ言って、大丈夫なんかじゃない。

それでも、ここは屋内で直な衝撃は受けていないから、大丈夫だと、軽く頷いて見せた。


軽く緩められていたネクタイ。

時計は2時を回りそうだった。


「あ、シャワー、良かったら」

どうぞ、という気持ちで言った私の呟きに、敦君は無反応。

出張の疲れもあるだろうから、早くシャワーを浴びて寝た方がいいに決まってる。

私はそう思っていたんだけど。


「この状況で、部屋にひとりになっても大丈夫?」


そう聞かれて、あ――って、思い固まってしまった。


「帰ってから入るから、大丈夫だよ」

「――え?」