彼は、理想の tall man~first season~


ビクビクしながら、お店の出入り口で、マスターから店の鍵を預かった。


「俺か和が夕方店行くから、そん時返してくれりゃいい」

「はい。お預かりします。キチンとお返しします」

「ん。気ぃ付けて帰れよ」

はい、なんて返事をして。

「ご馳走さまでした」

とも言って、智子達と一緒にお店を出た。



「美紗、また今度カラオケ行こうね」

「うん、今日はゴメンね」

「いいよ、気にしなさんな。その変わり次は絶対ね」

「うん」


敦君に掴まって歩く私の前を、ヨロヨロしながらマサ君に掴って歩く智子。

前と後ろでそんな会話をして、暫く歩くと、急に智子が立ち止まり。

くるりとこちらに振り返った。


「あの、中條さん!!」

「うん!?」


智子の勢いに、敦君も隣で智子を支えるマサ君も驚いたみたいだったけど。

私は交互に2人を見比べていたから、酔いそうで――。

智子の顔だけをジッと見た。


「美紗のこと、本当によろしくお願いします!! この子、色々危なっかしいとこもありますけど、本当にいい子なんで」