彼は、理想の tall man~first season~


「敦さん、」

「ん?」

「悪いけど、今日は美紗のことよろしく。俺、朝までここで飲んだくれてるから」

「了解。でも、あんまり飲み過ぎるなよ」

「いや、美紗も明日早朝ゴルフって感じでもないだろうから、久々に羽伸ばして飲むよ」

「アハハ、そうか」


あーーっ、しまった!!

やってしまった。

土曜の早朝はゴル練だった。

今更思い出しても後の祭り。

まぁ、日曜日に変更すればいいか――そう思って立ち上がり、出入口に向かって歩き出すと、頭を軽く何かで叩かれた。


振り返ると、マスター。

こうして面と向かってマジマジと顔を見ると、本当に悪そうな雰囲気で、知人でなければ怖じ気付きそうだ。


「これ、店鍵のスペアな」

「あ、すみません」

「なくすなよ?」

「え? あ、大丈夫、だと思います」

「いいか!! なくすんじゃねぇぞ!?」

「―――っ!!」


この人相極悪人に、だと思う的な返事は、通用しないことを今更思い出し。

久々に凄まれて、肩が竦んだ。


「失くさぬよう注意します」

「失くしたら、ただじゃおかねぇからな」

「・・・・・・はい」