でも、完全にこの男は、敦君の状況を知っていた訳だし。
話題に挙げてくれたって良かったと思うって、思っちゃダメかな。
――って、ダメだろうな。
「あのね、尚輝君。私は、毎朝早起きして、自分と誰かさんのお弁当まで作ってるから、もう眠いんですよ」
ただ、悔しいから、尚輝には軽く嫌味をお見舞いしてみた。
「なに、美紗、お前弁当作ってんの?」
「うん」
「トモと違って、偉いなー」
――いやいや、違うし。
出来る女子アピールでもなんでもなくて。
これは、嫌味女子を演出したかっただけなんだけど。
「いやいや、マサ君、節約ですよ、節約」
まぁ、お弁当を作ってるのは、尚輝の方が家賃を少し多く払ってくれている――という金銭的事情があるんだけど。
家賃、光熱費、食費、携帯代、保険代、お酒、煙草、ジム代、ヨガ代、服に化粧品――他、遊び交際費等々。
色々と出費は嵩む。
少しでも食費を抑えられたら、それに越したことはない。
ま、煙草をやめれば軽く数千円は浮くけど――現実的にやめる気がないんだから、必要費に計上される。


