彼は、理想の tall man~first season~


本当にちょっと飲み過ぎたかも知れない――そう思いながら、私は一人の世界で、ボーっとしていた。


「ねぇマスター、カラオケ行きたいね! 今日行こうよ?」

「はぁ?」


少し経ってから、智子の元気な声が上がり。

私は、それにギョッとした。


「美紗も、今日カラオケ行かない?」

「あ・・・・・・ゴメン。もうそんな元気ないなぁ」


流石に、これからカラオケなんて気力は、残っていなかった。


「じゃあ、マスター、カラオケ奢って?」

「あぁ? 智子の狙いは、金なのか?」

「違うしぃ!! マスターの、あのエロい歌声を、久々に聴きたいだけじゃん」


うん――。

まあ、確かにマスターの歌声はエロい。

ひとり勝手に納得して頷いていると。


「美紗、お前行かねぇの?」

尚輝までそんなこと言い始めていた。


はぁ・・・・・・なんだろ。

今日は尚輝の相手をするのがしんどい。

そもそも尚輝がひと言、敦さん出張行った――とか、教えてくれれば良かった話じゃない?

まぁ、尚輝の所為にするのは、お門違いなんだけど。