彼は、理想の tall man~first season~


「ねぇ、こんなに早くお店閉めちゃって、大丈夫? ちゃんと儲かってるの?」

「あ? 美紗にいらねぇ心配されるようじゃあ、俺も終わりだな」

「私は心配してるの! 奏君と和君にちゃんとお給料が支払われてるか」

「んだよそれ」

「元従業員が、元生徒で現従業員と元同僚の心配して何が悪いのよ」

「なんだよ、元社長の心配はしてくれねぇのか?」

「だから賃金未払いとかの心配してあげてるんでしょ」

「俺は、どんだけ払いが悪ぃんだよ」

「私、過去に2回ありました」

「あれは、お前がどのタイミングで給料まだかって言って来るか、カズと賭けてたんだろ」

「人で――しかもお給料で遊ぶなんて、最低です」

「だからあん時、」

「確かに、お詫びと称して焼肉に連れて行ってもらいましたけど。だからいいだろって問題でもないですよね?」

「ああ? もう、時効だろ――ってお前、なんか酒癖悪くなったか? 絡み酒か?」

「うわっ、最悪! 話をすり替えようとしてる」

「ああ? んだと?」

「大の大人が、あーヤダヤダ」


私はマスターに絡みながら、久し振りのここでのお酒を、後先考えずグイグイ飲んだ。