彼は、理想の tall man~first season~


一週間振りに顔を合わせて、あんなに変に勘ぐっていた私は、にこやかな顔を向けられ、その後、お疲れさま――と。

落ち着いた雰囲気に、さっきの自分を恥て、ますます自己嫌悪に陥った。


「美紗、座りなよ」

「あ、ありがと」

智子が隣の空き卓の椅子を運ぼうとしてくれたけれど、敦君が半歩身を出して、それを動かしてくれた。

慌てて「すみません」て、そう口走っていた私に――敦君は、何点目だったかな、と。

こんな時でも継続中らしかった罰ゲームの事をさり気なく言われ、私は思わず苦笑い。

智子は意味が解らないという顔をしていたけれど、マサ君の隣の席に落ち着いた。


「・・・・・・」

「・・・・・・」


私も椅子に腰を下ろしたまでは良かったけれど、微妙な沈黙。

だけど、その時、和君がカクテルを運んで来てくれて。

「ごゆっくり」

「あ、ありがとう」

微妙な沈黙は、次に乾杯への運びとなって。

「乾杯」と――。

敦君が静かにグラスを持ち上げたので、私は慌ててカクテルグラスを手に取り。

カチン――と、軽くグラスを合わせた。