「隣の女は酔ってた感じだったからな――会社の飲み会帰りとかなんじゃねぇの?」
「尚輝は、今日飲み会だとか、そんなこと言ってなかった」
会社に勤めていたら、急にそういう事になってもおかしくはないのに――そんなに冷静でもいられなくて、私には深くを考えられなかった。
「6日間連絡なくて、先週の段階で金曜は仕事終わるの遅いって言ってたんだよ? 今の状況見たら、嘘吐かれたとしか、私には思えない」
「んー?」
「多分、私のことは・・・・・・尚輝の企みがあってのことで、」
「付き合う云々は、男から言って来たんだろ?」
「そうだよ、だからそれは、尚輝のドッキリ企画みたいなもので」
「んな理解出来ねぇことする男には見えねぇし。それして尚輝になんの得があんだよ?」
「尚輝は単に面白がってるだけでしょ?」
「そんな男じゃねぇだろ」
「じゃあここに入って来た時、背が高い男に寄り付いてた女はマスターにはどういう関係に見えたの?」
マスターに完全に八つ当たり状態だった私は、声を荒げていたことに気付き――ハッとした。


