彼は、理想の tall man~first season~


「――髪、型、は?」

「短髪めで、結構いい男だったぞ」

「へぇ――そう、なんだ」

ってことは、間違いないよね。


やっぱり、物事いいようにしか考えないというのは、やめておいた方が良いんだ。

あと、いい男の言う事は、所詮は気紛れだって、思っておいた方がいいという事なんだろう。

きっと、そういうことなんだ。


「派手目な姉ちゃんが、べったり寄り付いてたな」

「ふぅん、そう」


実は女いるんだよね的な感じなのか――私は多勢のガールフレンドの1人ということを認識させる為の行動なのか――。


尚輝が一緒ってことは、私がここに居るって、知っての行動。

そう考えると、なんだか胃がムカムカして来た。


「なんだ、知り合いか?」

「え? いや、うん、多分」

「なら、ちょっと顔出してこいよ」

「いや遠慮しとく――っていうか、私もう帰っていいかな」

「は? なんだ、具合でも悪ぃのか?」

「――――」

「おい、どうした?」


私、なんで泣きそうになってんだろう。

嫌だな――。

そんなんじゃないのに。