彼は、理想の tall man~first season~


「美紗、尚輝が来たぞ」

「――っ!?」


マスターが、私をあんぐりにさせるようなことを言って来た。

なんで、尚輝が?

さっきまで携帯を見てたけど、そんな連絡はなかったのに。


「人違いじゃない?」

「俺が尚輝を見間違える訳ねぇだろ」

「――ですよねぇ」

ってことは、本当にお店に来てるの?

珍しい――。


「ああ、ついでに女も一緒だったぞ」

「え、尚輝が?」

「背の高ぇ男も一緒だったけどな」

「―――はい?」


尚輝が女と一緒に来た事にも驚いている最中、背の高ぇ男も一緒?

マスターからの情報に、思い浮かんだ顔は、たったひとり。

それは――やっぱり私は、からかわれていただけなんだって、思わされた話だった。

マスターに詳しく聞くと、たった今、尚輝が背の高い男性と女性2人を連れて、このお店にやって来たようで――。

男2人と女2人での来店に、私の心臓はドックンと、イヤな音を立てていた。


「背が、高いって、どれくらい高かった?」

「あんま見てねぇけど。尚輝とどっこいか、ちょっと高ぇくらいか」