「美紗、尚輝が来たぞ」
「――っ!?」
マスターが、私をあんぐりにさせるようなことを言って来た。
なんで、尚輝が?
さっきまで携帯を見てたけど、そんな連絡はなかったのに。
「人違いじゃない?」
「俺が尚輝を見間違える訳ねぇだろ」
「――ですよねぇ」
ってことは、本当にお店に来てるの?
珍しい――。
「ああ、ついでに女も一緒だったぞ」
「え、尚輝が?」
「背の高ぇ男も一緒だったけどな」
「―――はい?」
尚輝が女と一緒に来た事にも驚いている最中、背の高ぇ男も一緒?
マスターからの情報に、思い浮かんだ顔は、たったひとり。
それは――やっぱり私は、からかわれていただけなんだって、思わされた話だった。
マスターに詳しく聞くと、たった今、尚輝が背の高い男性と女性2人を連れて、このお店にやって来たようで――。
男2人と女2人での来店に、私の心臓はドックンと、イヤな音を立てていた。
「背が、高いって、どれくらい高かった?」
「あんま見てねぇけど。尚輝とどっこいか、ちょっと高ぇくらいか」


