彼は、理想の tall man~first season~


マスター曰わく、どうやらリクエストの大半は智子とマサ君の仕業だったようで。

私をヘトヘトにさせたのはこの2人だったのかと思うと、疲れもなんだか飛ぶ気になり。

「美紗はまだ緊張してんなぁ」

マスターからズバリな指摘をされても、笑って交わせるくらい気持ちも楽になっていた。


ここの現従業員という訳ではないけれど――マスターが休憩してていいと言ってくれて。

私は智子とマサ君のテーブルで腰を落ち着け、話し始めた。


「ね、彼氏には連絡したの?」

「してない」

「うわぁお! 向こうからの連絡は?」

「ないです」

「あっちゃ~」

そして智子との会話を、マサ君は黙って聞いてくれていた。

折角のデートなのに、なんだか申し訳ない。

そう思いつつも、誰かと話していると気が紛れるのは、間違いない話だった。


「会うの、明日でしょ?」

「――うん」

「明日の予定の確認とか、連絡すべきなんじゃない?」

「後でしてみる」

「そうしな、そうしな」


なんだかんだで、智子にはいつも心配してもらっているように思う。


いい加減、そういうのもどうにかしないとだって、反省した。