彼は、理想の tall man~first season~


スタッフルームを出ると、裏口の扉がガチャガチャと音を立てていた。

もしかしたらと思って、そのまま扉を見ていると――。

「おー久しぶりじゃん」

「うわぁ、和(かず)君!」

誰が入って来るか分かってはいても、久し振りに会ったバーテンダーの和君に、私のテンションはすっかり上がった。


「元気してた?」

「うん! 和君は?」

「俺は見ての通り、ピンピン」

マスターの学生時代の古くからの友人の後輩の後輩という、近いのか遠いのか良く分からない和君とは、元バイト仲間という間柄。

ちょっと年上の和君は、このバーで働いていた時、お兄様的な存在だった人。

マスターをいい加減な人間に分類したとすると、この和君はかなりまともな部類の人。

凹凸加減が丁度な感じで、マスターの信頼を得ているマスターの片腕だ。


「髪伸ばしてるの?」

「そうでもねぇけど」

「そこまで長いのって、私初めて見る気がする」

「そうだったか?」

「うん」

短髪で金髪だった髪は、茶髪で耳に掛かるくらいの長さ。

「でも似合ってるね」

昔よりも落ち着いた雰囲気になっていた。