彼は、理想の tall man~first season~


「抵抗すると、酔っ払いって、更にエスカレートするから、口では言わない。やんわり手は退けるように試みるけど」

「それで素直に退けるか? どけねぇだろ?」

「うーん。まぁ、効果はイマイチ、かな」


尚輝の盛大な溜め息に、私は言ってしまったことに後悔した。


「なあ、美紗、助けてくれる奴はいないのかよ?」

「え? 好き勝手飲んでる連中だからね。それに、私を助けたりしたら、それこそ課長の餌食だから」

「なんなんだよ、その会社」


確かに、晃の言う通り、なんなんだよとは思う。


「あ! でも、部長が絶妙のタイミングで、席に呼び戻してくれる時もあるよ」

「ちょっとでも触られてんなら絶妙もなにもねぇだろ」

「まぁ、そうだけど」

尚輝はやっぱりキレていて、敦君は何も言わないままだったから、なんとなく居心地の悪さを感じた。


「お前、会社ヤメたら?」

「――は? そんな事で辞める訳にはいかないし」

「だったら、その課長にやめてもらうか、課長に手癖悪いのやめるように上に言ってもらえ。取り敢えず、その状況をどうにかしろ」