「抵抗すると、酔っ払いって、更にエスカレートするから、口では言わない。やんわり手は退けるように試みるけど」
「それで素直に退けるか? どけねぇだろ?」
「うーん。まぁ、効果はイマイチ、かな」
尚輝の盛大な溜め息に、私は言ってしまったことに後悔した。
「なあ、美紗、助けてくれる奴はいないのかよ?」
「え? 好き勝手飲んでる連中だからね。それに、私を助けたりしたら、それこそ課長の餌食だから」
「なんなんだよ、その会社」
確かに、晃の言う通り、なんなんだよとは思う。
「あ! でも、部長が絶妙のタイミングで、席に呼び戻してくれる時もあるよ」
「ちょっとでも触られてんなら絶妙もなにもねぇだろ」
「まぁ、そうだけど」
尚輝はやっぱりキレていて、敦君は何も言わないままだったから、なんとなく居心地の悪さを感じた。
「お前、会社ヤメたら?」
「――は? そんな事で辞める訳にはいかないし」
「だったら、その課長にやめてもらうか、課長に手癖悪いのやめるように上に言ってもらえ。取り敢えず、その状況をどうにかしろ」


