彼は、理想の tall man~first season~


あまり思い出したくはない、課長のおさわり。

だけど、言うまで尚輝の取り調べは続きそうで。

私はやむを得ず、口を割った。


「本当に大したことじゃないからね? 男性陣からしたら、そんなことでギャーギャー騒ぐなってことだと思うし」

「いいから、早く言えよ」

気が短い尚輝様は、イライラしているのか――焼酎のフタを手早く開けて、ドボドボとグラスに注いでいた。


「まあ、なんて言うか――酔うと腰に手を回すのは酔っ払いの鉄板なんだと思うけど、」

「――は?」

「課長の場合は、それプラス顔を寄せて、反対側の手を、」

「反対側の手を?」

「なんか太ももに置くのね。それでそのまま置きっ放しだったらいいんだけど、内側に手を移動させて、なでなどとか」

そこまで言うと、晃は咽せ始めて、尚輝は飲んでいたグラスをテーブルにダンッと置き。

敦君は驚いたように目を見開いていた。


「お前っ、んなことされてなんとも思わねーの?」

「え? だ、だって課長酔ってるから、仕方ないかな、みたいなさぁ」

「ばっかじゃねぇの? つか、お前それで抵抗とかしねぇのかよ?」