彼は、理想の tall man~first season~


尚輝が軽く鋭い目を私に向けて来たから、飲み過ぎな状況を反省。

これじゃあ、酔って部長のことをネチネチ言って来る課長と同類だ。

よく人のこと言えたもんだわ。


「手癖悪いって、美紗なにされんの?」

それらの話は、終わりにしようと思っていたのに、晃がまさかの質問を寄越して来た。


「別に、大したことじゃない」

「なんだよ、大したことじゃないって、どんなセクハラだよ」

「そんなに騒いで言うほどのことでもない程度ってこと」

納得はしてなさそうだったけれど、ふーんみたいな雰囲気で口を閉ざした晃。

それにちょっとホッとしていると、隣の尚輝様は、「何をされたのか言え」と、そこで話を終わりにはしてくれなかった。


「だから、別に大したこ――」

「大したことじゃないかどうかは、俺が判断するから言え」

「・・・・・・」

「つか、本当に大したことじゃないなら言えんだろ」

「まあ、それはそうだけど」

どうしても私に口を割らせたいらしい尚輝様は、機嫌がすこぶる悪く。

眉間にシワを寄せ、更に鋭い視線で此方を見ていた。