彼は、理想の tall man~first season~


「うちの会社の女性陣は、飲み行く時、なんでかこのボトル頼むよね? 敦さん」

「ああ、そうだな」

2人の会話を聞いていたら、もしかして――不要なモヤモヤを抱いてたかも知れない展開で。

「俺の姉貴も好きな酒だな」

敦君がそんな事を言い出すもんだから、完全に私ってバカだって思った。

でも、聞いてて気分はちょっと軽くなった。


「なあ、尚輝の会社って、飲み会とかあんの?」

「まぁ、たまーにだな」

「ふーん、いいな。うちはあった所で、男しかいねーから、シケた飲み会にしかなんねーし」

「そういうもんか? 俺はそっちの方がいいけどな」

「どうせ、あれだろ? 尚輝はミーハー女子に囲われて、飲まされるパターンだろ?」

「当たらずとも遠からず――敦さんもそんな感じだよね」

「へぇ、あっちゃんもそうなんだ」


ただ、持ち直していた気分は、尚輝と晃によって再び沈まされた。

それに加えて、肯定も否定もせずに軽く笑ってそれを交わしていた敦君にも、ちょっと凹まされていた。