このままだったら間違いなく、敦君は買いに行ってしまうだろう。
現に今、晃に何が必要かと、敦君は聞いているし。
逆に尚輝は冴えない表情だ。
多分先輩の敦君が買い出しに行くとなったら、気分がサッカーには、向かなくなってしまうだろう。
「尚輝、車貸して。私が買いに行って来る」
言うなり『神』みたいな目を向けられた。
「晃、私が買いに行くから、何が必要かメールしといて」
「マジか!? あ、金、これ使って」
渡された5千円。
「今日のピザ代俺持ちの予定だったんだけど、あっちゃんが出してくれたから。悪ぃけどそれで買って来て」
「うん、分かった! 尚輝、私の煙草代頂戴」
「は? お前、俺から金取る気かよ」
「じゃあ、私行くのやめようかなぁ~」
「チッ、分かったよ――ちゃっかり娘め」
「ちゃっかりじゃなくて、しっかりの間違いでしょ」
渡された千円。
半分冗談だったけど、ラッキーってな気分で。
敦君には、私が買いに行くから一緒にサッカー観てて下さいとお願いして、座ってもらった。


