「お父さん、何か言ってた?」

「ん?」

「なにか尚輝に用事があったから電話掛けて来たの?」

「知りてぇの?」

「気になるに決まってるじゃないよ」


そう答えるなり、尚輝はニヤリと笑って、なにか言いた気な雰囲気を出した。


「もう、なんなのよ」

「いや、別にぃ」

「だったら、変な目向けないでよね」

怒った私を、尚輝はそれでもニヤリとした顔で見てくる。

暫くシカトしようと心に決めた時、「まぁ」と――。

急に真面目な表情になった尚輝が、「親父は」と――、言葉を続けた。


「つか、敦さんと親父、電話で話したらしいじゃん?」

「うん、まあ、そうだけど」

「いい人そうだったとは言ってたけど――俺に直接電話を寄越したってことは、」

「――寄越したってことは?」

「単に心配だったんだろ」

「え――それだけ?」


なんだか拍子抜けだった。

私経由ではなく、尚輝に直に電話して来た父。

心配だったって、何?


「中條さんはどんな人なんだって、聞いて来た」

「それ聞かれて、尚輝なにか言ったの?」