テレビを見ながら、今さっきのバイト君の話をする晃と、軽く相槌をしている敦君。
尚輝はそれを聞いて、だから遅かったのか――と、納得しながらも笑っていた。
「美紗、もう試合始まるぞ」
「はい、はーい」
その輪の中に入りたくない。
そういう気持ちが勝っていた私は、尚輝の呼びかけを軽く流した。
「何してんだよ? ピザ冷めるぞ」
「お先にどうぞー」
そして、次なる呼びかけも、軽く流した。
私には、考えなければならないことがあった。
中途半端に晃を許してしまったような感じになってしまったけれど。
ちゃんと話をした方が良かった事ではあると、頭で解ってはいたけれど、あの状況だとそうもいかなかった。
それらを考えていると、やっぱり私は気鬱なもので――。
「なにしてんだよ」
だけど、突然真横から聞こえて来た尚輝の声に、私の思考は強制的に終了させられた。
「いきなり、横にいないでよ」
「もう始まるぞ?」
「うん、分かったって。そっちで見てればいいじゃん」
「終わらねーなら、手伝う」
「別にいいよ」
「これ盛り付けていいのか?」
「え? う、うん」


